高度専門職の「IT告示」とは?ポイント対象となるIT資格・試験

Highly Skilled Professional
高度専門職のポイント計算表を見ていると、「IT告示に定める試験に合格又は資格を保有」という項目があります。
- IT告示って何?
- 自分が持っているIT資格も対象になる?
- 海外で取得した資格でもポイントになる?
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
IT告示には、日本だけでなく、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマーなど、海外で実施されている情報処理技術に関する試験・資格も定められています。
この記事では、高度専門職1号ロ(高度専門・技術活動)のポイント計算とIT告示の関係を中心に、IT告示に掲載されている試験・資格について紹介します。
1.IT告示とは?
「IT告示」とは、情報処理技術に関する一定の試験・資格を法務大臣が定めた告示です。
正式名称は、
「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」
といい、平成25年法務省告示第437号として定められています。
告示では、情報処理技術に関する「試験」を第1号から第10号まで、「資格」を第11号・第12号に定めています。
かなり長い名称ですが、高度専門職のポイント計算などでは、一般に**「IT告示」**と呼ばれています。入管庁の法令一覧でも「IT告示」として案内されています。

2.高度専門職では何ポイント加算される?
IT告示に定められた試験・資格は、**高度専門職1号ロ(高度専門・技術活動)**のポイント計算で対象になります。
対象となる試験への合格や資格の保有など、資格に関する項目では、
| 該当する資格・試験 | ポイント |
|---|---|
| 1つに該当 | 5点 |
| 複数に該当 | 10点 |
となります。
入管庁の高度人材ポイント制Q&Aでも、高度専門・技術活動について、我が国の一定の国家資格に加えて、IT告示に掲げられている情報処理技術に関する試験・資格もポイント対象になることが明記されています。
たとえば、高度専門職1号ロのポイントを計算したところ65点だった方が、IT告示の対象となる試験に1つ合格している場合には、この項目の5点が加算され、70点に達するケースも考えられます。
ITエンジニアの方が高度専門職を検討する場合には、学歴・職歴・年収・年齢などだけでなく、これまでに合格したIT試験や保有している資格も確認するとよいでしょう。
関連記事:高度専門職のポイント制度などを解説<簡易ポイント計算ツール付き>
3.IT告示に定められている試験・資格
ここから、IT告示に掲載されている試験・資格を国・地域別に見ていきます。
※IT告示では、日本からバングラデシュまでを「試験」として第1号から第10号に、シンガポールと韓国については「資格」として第11号・第12号に定めています。
日本
現行制度の試験
- 情報処理安全確保支援士試験
- ITストラテジスト試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ITサービスマネージャ試験
- システム監査技術者試験
- 応用情報技術者試験
- 基本情報技術者試験
- 情報セキュリティマネジメント試験
過去に実施された試験
IT告示には、現在の試験だけでなく、過去の制度で実施された試験も掲載されています。
- 第一種情報処理技術者認定試験
- 第二種情報処理技術者認定試験
- 第一種情報処理技術者試験
- 第二種情報処理技術者試験
- 特種情報処理技術者試験
- 情報処理システム監査技術者試験
- オンライン情報処理技術者試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- システム運用管理エンジニア試験
- プロダクションエンジニア試験
- データベーススペシャリスト試験
- マイコン応用システムエンジニア試験
- システムアナリスト試験
- システム監査技術者試験
- アプリケーションエンジニア試験
- プロジェクトマネージャ試験
- 上級システムアドミニストレータ試験
- ソフトウェア開発技術者試験
- テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験
- テクニカルエンジニア(データベース)試験
- テクニカルエンジニア(システム管理)試験
- テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験
- テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験
- 情報セキュリティアドミニストレータ試験
- 情報セキュリティスペシャリスト試験
したがって、昔取得した資格だからという理由だけで対象外になるとは限りません。
日本の現行試験と旧制度の試験はいずれもIT告示本文に具体的に列挙されています。
中国
中国工業和信息化部教育与考試中心が実施する試験
- 系統分析師(システム・アナリスト)
- 信息系統項目管理師(インフォメーション・システム・プロジェクト・マネージャ)
- 系統架構設計師(システム・アーキテクト)
- 軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
- 網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
- 数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
- 程序員(プログラマ)
中国信息産業部電子教育中心または中国工業和信息化部電子教育与考試中心が実施した試験
- 系統分析員(システム・アナリスト)
- 高級程序員(ソフトウェア・エンジニア)
- 系統分析師(システム・アナリスト)
- 軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
- 網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
- 数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
- 程序員(プログラマ)
フィリピン
フィリピン国家情報技術標準財団(PhilNITS)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
フィリピン・日本情報技術標準試験財団(JITSE Phil)が実施した試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ベトナム
ハイテクインキュベーショントレーニングセンター(HITC)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ベトナム情報技術試験訓練支援センター(VITEC)またはベトナム訓練試験センター(VITEC)が実施した試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- ソフトウェア開発技術者(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ミャンマー
ミャンマーコンピュータ連盟(MCF)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
台湾
財団法人資訊工業策進会(III)が実施した試験
- 軟体設計専業人員(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・IT・エキスパート)試験
- 網路通訊専業人員(ネットワーク・コミュニケーション・IT・エキスパート)試験
- 資訊安全管理専業人員(インフォメーション・システム・セキュリティー・IT・エキスパート)試験
マレーシア
マルチメディア技術促進本部(METEOR)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・プロフェッショナル)試験
タイ
国立科学技術開発庁(NSTDA)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
国立電子コンピュータ技術センター(NECTEC)が実施した試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
モンゴル
モンゴル国立ITパーク(NITP)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
バングラデシュ
バングラデシュコンピュータ評議会(BCC)が実施する試験
- 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
- 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
シンガポール
シンガポールコンピューターソサイエティ(SCS)が認定する資格
- サーティファイド・IT・プロジェクト・マネージャ(CITPM)
韓国
韓国産業人力公団が認定する資格
- 情報処理技師(エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
- 情報処理産業技師(インダストリアル・エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
4.IT告示は「技術・人文知識・国際業務」にも関係する
IT告示は、高度専門職のポイント加算だけの制度ではありません。
もともとIT告示は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」のIT技術者について、上陸許可基準の特例を定める告示です。
「技術・人文知識・国際業務」で自然科学・人文科学の知識・技術を必要とする仕事に従事する場合、通常は関連する大学等の学歴や実務経験などの基準があります。
しかし、情報処理に関する技術・知識を必要とする業務について、IT告示に定める試験に合格している、または資格を持っている場合には、この学歴・実務経験に関する基準の特例があります。
5.申請するときは何を証明する?
ポイント計算表で「IT告示の資格あり」と記載するだけではなく、実際にその試験に合格したこと、または資格を保有していることを証明する資料が必要になります。
「技術・人文知識・国際業務」の申請についても、出入国在留管理庁は、IT技術者について、IT告示に定める情報処理技術に関する試験または資格の合格証書・資格証書を提出資料として案内しています。
高度専門職のポイントを確認する際も、
- 持っているIT資格・合格した試験を確認する
- IT告示に掲載されているか確認する
- 合格証書・資格証書などの証明資料を確認する
の順で整理すると分かりやすいでしょう。
6.Q&A
- IT告示の対象試験に1つ合格しています。高度専門職では何点になりますか?
-
高度専門職1号ロの資格に関するポイント項目では、1つに該当する場合は5点です。
- 対象となる試験・資格を複数持っている場合は?
-
複数に該当する場合は、資格に関するポイント項目で10点となります。
- 海外で取得したIT資格でも対象になりますか?
-
はい。IT告示には、日本以外の試験・資格も掲載されています。
ただし、海外のIT資格すべてが対象になるわけではありません。告示に定められた試験・資格に該当することが必要です。
- 昔取得したIT資格でも対象になりますか?
-
対象になる場合があります。
IT告示には、現在は実施されていない旧制度の試験も掲載されています。古い資格だからという理由だけで対象外と判断せず、告示を確認するとよいでしょう。
- IT告示の資格があれば、自動的に高度専門職になれますか?
-
いいえ。
高度専門職1号ロでは、学歴、職歴、年収、年齢、日本語能力、資格などの各項目をポイントで評価します。
IT告示の対象資格・試験はその中の一つの評価項目です。
7.まとめ
IT告示とは、情報処理技術に関する一定の試験・資格を法務大臣が定めた告示です。
高度専門職のポイントを計算するときには、学歴・職歴・年収などだけでなく、これまでに取得したIT資格や合格した試験についても確認してみるとよいでしょう。
特に外国人ITエンジニアの方は、日本の資格を持っていなくても、母国で取得した試験・資格がIT告示の対象になっている可能性があります。
※掲載している試験・資格は、出入国在留管理庁が掲載するIT告示に基づいています。制度改正により対象となる試験・資格が変更される可能性があるため、申請時には最新の告示を確認しましょう。

記事作成:在留資格申請取次行政書士 浅野
海外人材紹介会社、国内監理団体・登録支援機関での外国人材ビジネスを経験後、アンコール事務所を開設。
ご相談について
在留資格(永住・技術・人文知識・国際業務・配偶者ビザ等)に関するご相談を承っております。
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