オーバーステイとは?在留期限を過ぎる前に知っておきたいこと
はじめに
日本に在留する外国人には、それぞれ在留期限が設定されています。
在留期限を過ぎても、在留期間の更新や在留資格の変更などの手続をせずに日本に滞在し続けることを、一般に「オーバーステイ」といいます。
オーバーステイになると、退去強制手続や刑事罰の対象となる可能性があるほか、将来、日本へ再び入国しようとする際にも大きな影響が生じます。
しかし、在留期限が切れる前であれば、状況に応じて検討できる適切な手続が残されていることがあります。
このページでは、オーバーステイの基本的な意味や、起こりやすいケース、オーバーステイになった場合の影響、在留期限を守るために注意したいことを解説します。
オーバーステイとは?
オーバーステイは、主に、在留資格を持って生活していた外国人が、許可された在留期限を過ぎても日本に滞在し続けている状態を指します。
入管法では、在留期間を1日でも経過して本邦に残留することを不法残留として、退去強制事由(日本から強制的に退去させる理由)の一つに定めています。
例えば、在留期限が6月30日までの方が、在留期間更新許可申請などの手続をしないまま7月1日以降も日本に滞在すれば、原則として不法残留となります。
「1日だけだから大丈夫」「更新するつもりだった」という事情があっても、違法状態となってしまったことに変わりはありません。
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よくあるオーバーステイのケース
オーバーステイは、
- 本人が在留期限をうっかり忘れていた
- 勤務先も本人の在留資格を把握・管理していなかった
- 申請準備が遅れ、「数日くらい過ぎても大丈夫だろう」と甘く考えていた
など、確認や準備の不足が理由で発生してしまうことも多いようです。
ここでは、実際に起こりやすいケースを紹介します。
1.在留カードの期限を確認していなかった
普段の生活の中で、在留カード期限の確認を怠ってしまっていたケースです。
自分の在留期限は、自分で確認しておく必要があります。
在留カードを受け取ったときだけでなく、ときどき期限を確認するようにしましょう。
2.パスポートの期限と在留期限を間違えていた
パスポートの有効期限と、日本に滞在できる在留期限は別のものです。
パスポートがまだ有効でも、在留カードに書かれている在留期限を過ぎれば、そのまま日本に滞在することはできません。
日本にいつまで滞在できるかは、在留カードの「在留期間(満了日)」で確認しましょう。
3.会社や学校が申請してくれると思っていた
勤務先や学校、人材会社などが、更新手続をしてくれると思っていたケースです。
「誰が申請するのか」「いつ申請するのか」「すでに申請が受理されているのか」を、本人も確認しておくことが大切です。
会社や学校に任せている場合でも、在留期限の管理まで完全に任せきりにしないようにしましょう。
4.必要書類がそろうのを待っていた
会社から書類を受け取れていない、税金や社会保険の証明書がそろわないなど、申請準備に時間がかかることがあります。
しかし、「書類が全部そろってから申請しよう」と待っているうちに、在留期限を過ぎてしまうことがあります。
いうまでもなく、申請準備を計画的に開始すこと大切です。しかし必要書類がそろわないときは、そのまま待つのではなく、期限前に入管や専門家へ相談することが大切です。
5.申請が不許可になったあと、どうすればよいか分からなかった
在留期間の更新や在留資格の変更が不許可になった場合、それまでの在留資格で、そのままずっと日本にいられるわけではありません。
多くの場合、再申請などにより新たに在留資格を得るか、帰国することを選択することとなります。
また、不許可後に、出国のための期間が与えられることがあります(出国準備の特定活動)。
その期限を確認しないままでいると、オーバーステイになってしまいます。
不許可になったときは、
- いつまで日本にいられるのか
- 再申請できるのか
- 何日で出国する必要があるのか(主に30日か31日)
を早めに確認し、必要な準備を進めることが大切です。
6.短期滞在の期限を過ぎてしまった
観光、親族訪問、商談などの「短期滞在」にも、15日、30日、90日などの在留期限があります。
日本に滞在している間に、
- 日本人と結婚した
- 仕事が見つかった
- 家族と一緒に暮らしたくなった
という事情が生じても、自動的に在留期限が延びるわけではありません。
日本国内で手続ができるのか、いったん出国して手続をする必要があるのかは、ケースによって異なります。
事情が変わったときは、在留期限を過ぎる前に専門家などに相談し、まずは状況を整理してその後の対策を進めることが大切です。
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在留申請の特例期間のルール
現在の在留期限までに、在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を適法に行った場合は、審査中に在留期限を迎えても、一定期間は従前の在留資格のまま日本に適法に在留できる制度があります。一般に「特例期間」と呼ばれています。
原則として、申請に対する結果が出た日、または従前の在留期間の満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日まで、引き続き滞在が認められます。
そのため、在留カードに記載された期限を過ぎていても、期限内に更新・変更申請が適法に受理され、審査中であれば、直ちにオーバーステイになるわけではありません。
【注意点】
- 「申請の準備中でした」は対象外: 単に申請書を準備していた、行政書士や勤務先に相談していた、必要書類を集めていたというだけでは、申請したことにはなりません。期限までに「入管に申請が受理されていること」が絶対条件です。
- 短期滞在(30日以下)などは対象外: 在留期間が「30日以下」の在留資格(主に観光などの短期滞在)や、不許可後の出国準備期間(30日)などの場合は、この特例期間が適用されません。 申請したその日に結果が出なければ、翌日からオーバーステイになってしまうため、極めて厳格なスケジュール管理が必要です。
オーバーステイになるとどうなるの?
厳しい話と思われるかもしれませんが、オーバーステイは、単なる「手続きをうっかり忘れただけ」では済まされません。
入管法違反という重大な違法状態であり、これからの生活や未来に、深刻なペナルティが科されることになります。
退去強制手続の対象になる
不法残留者は、原則として退去強制(強制送還)手続の対象となります。「仕事があるから」「家族が日本にいるから」という事情は通用せず、手続きが開始されることになります。その後、入国警備官による違反調査、入国審査官による違反審査、特別審理官による口頭審理などの厳格なステップを経て、最終的に退去強制が確定すると、日本から強制的に送還されることになります。
収容または監理措置の対象となる
退去強制手続の過程では、入管施設に収容されることがあります。一方、一定の要件を満たす場合には、収容せず、監理措置の下で社会内で生活しながら手続が進められることもあります。ただし、監理措置はすべての方に適用されるものではなく、本人の事情や逃亡のおそれ、証拠を隠すおそれ、手続の進行状況などを踏まえて、個別に判断されます。
刑事罰の対象となる可能性がある
不法残留は、退去強制という行政手続の対象となるだけでなく、不法残留罪として刑事罰の対象となることがあります。入管法では、不法残留に対し拘禁刑や罰金が定められています(入管法第70条第1項第5号)。もっとも、自ら入管に出頭した場合であっても、当然に刑事責任が免除されるわけではなく、個別の事情に応じて判断されます。
就労することはできない
オーバーステイになった時点で、それまで持っていた在留資格に基づく就労資格は完全に失われます。働き続けた場合は「不法就労」となり、本人が処罰されるだけでなく、雇用した事業主側も「不法就労助長罪」という重い罪に問われるリスクがあります。
日常生活への重大な影響
違法状態のまま滞在を続けると、銀行口座の凍結、賃貸契約の解除、健康保険への未加入による高額な医療費など、生活に行き詰まる可能性があります。また、違法状態が長期化するほど、のちに救済を求める際の立証や問題の整理が難しくなります。
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将来の日本への入国は?
オーバーステイを理由に日本から出国した場合、生涯にわたって日本へ戻れないと決まっているわけではありません。ただし、出国の方法や過去の経緯により、一定期間、日本への上陸が認められない「上陸拒否期間」が設けられます。
退去強制により出国した場合
強制送還(退去強制)された場合、原則として退去した日から5年間は日本への入国が認められません。また、過去にも退去強制歴や出国命令による出国歴がある場合には、上陸拒否期間が10年間に延長されます。
出国命令により出国した場合
自ら入管へ出頭し、速やかに日本から出国する意思があり、犯罪歴などの法律上の要件を満たす不法残留者は、簡易な手続で収容されずに出国できる「出国命令制度」の対象となることがあります。この制度を利用して出国した場合の上陸拒否期間は、原則として1年間に短縮されます。
上陸拒否期間が終われば、必ず入国できるわけではない
1年または5年の上陸拒否期間が経過したからといって、自動的に日本へ戻れるわけではありません。再び日本で生活するためには、在留資格認定証明書交付申請やビザの申請を行う必要があります。審査では、過去のオーバーステイの経緯や、日本に入国しなければならない深刻な必要性などが厳格に確認されるため、「拒否期間の経過=入国OK」ではない点に注意が必要です。
オーバーステイを防ぐために(本人・企業)
オーバーステイを防ぐために最も重要なのは、在留期限を正確に把握し、余裕を持って準備を始めることです。
- 在留カードの期限を定期的に確認する:数か月に一度は在留カードを確認しましょう。スマートフォンのカレンダー等を利用し、「期限の3か月前」「1か月前」などに複数のリマインド通知を設定しておく方法が有効です。
- 更新申請は早めに(3か月前から)準備する:在留期間更新許可申請は、一般に在留期限の3か月前から行うことができます。役所から取り寄せる税金・社会保険の証明書や、本国から取得する書類は準備に時間がかかるため、早めの行動が大切です。
- 会社や学校任せにしない:手続をサポートしてくれる機関がある場合でも、「誰が」「いつ」申請し、「すでに受理されたか(申請受付票や受付番号があるか)」を必ず自分自身で確認・把握してください。
- 生活状況が変わったらすぐに専門家へ確認する:退職、転職、退学・卒業、離婚・死別、結婚など、生活に大きな変化があった場合は、現在の在留資格のまま期限までいられるか、届出や変更手続が必要かを速やかに確認してください。
- 不許可になった場合は、その場ですぐに期限を確認する:万が一、申請が不許可となった場合は、その際に与えられる新たな在留期間や出国期限、就労が可能かどうかを即座に把握し、速やかに今後のリカバリー対応(再申請の可否など)を整理する必要があります。
在留期限が迫っている方へ
「必要書類がそろわない」「更新できるか分からない」という理由で、何もせずに期限を迎えることだけは絶対に避けてください。
書類がそろっていなくても、在留期限前であれば、何かしらの方法が存在する場合があります。「あと数日あるから」と自己判断せず、一刻も早く入管、または在留資格手続を専門とする専門家(行政書士や弁護士)へ相談されることをお勧めします。
まとめ
オーバーステイ(違法状態)になってしまった後は、通常の更新や変更の手続は利用できなくなり、選択肢は極めて限定されてしまいます。
一方、在留期限を迎える前であれば、現状に応じて検討できる手続や解決策が残されている可能性が十分にあります。
当事務所では、現在の在留資格、在留期限、日本での活動状況、今後のご希望などを丁寧にヒアリングし、最適な手続をご案内しています。在留期限が近い方、更新の準備が進まず不安な方は、期限を過ぎてしまう前に、まずは一度ご相談ください。
※すでに在留期限を過ぎてしまっている場合でも、自己判断で行動せず、今後の法的な見通し(出国命令の手続や、在留特別許可の検討など)を立てるために、早めに専門家へご相談いただくことを強くお勧めいたします。
関連する手続
オーバーステイ状態となった後の法的な手続には、自ら申し出る「出頭」、要件を満たせば1年で再入国が可能になる「出国命令」、そして日本への滞在継続を強く希望する場合に検討する「在留特別許可(※現在は法改正により、一定の要件のもとで自ら授与を申請する手続が整備されています)」などがあります。これらは要件や効果が全く異なります。
- 入管への出頭とは?
- 出国命令制度とは?
- 退去強制手続とは?
- 在留特別許可とは?
- 仮放免・監理措置とは?
※今後、各手続について個別のページで詳しく解説します。
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記事作成:在留資格申請取次行政書士 浅野
海外人材紹介会社、国内監理団体・登録支援機関での外国人材ビジネスを経験後、アンコール事務所を開設。
ご相談について
在留資格(永住・技術・人文知識・国際業務・配偶者ビザ等)に関するご相談を承っております。
世田谷区を中心に、目黒区、渋谷区、品川区、大田区、江東区、江戸川区などからもご相談をいただいております。
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