日本の年金制度とは?③|年金の脱退一時金制度

はじめに

日本で働き、これまで年金を納付してきた外国人の方の中には、

  • 脱退一時金制度って何?
  • 本帰国するとき払った年金は返ってくるの?

と疑問に思う方も多いでしょう。

日本には、このような外国人の方ために脱退一時金制度が設けられています。

この記事では、現在の制度の内容に加え、今後予定されている制度改正にも触れて解説したいと思います。

目次(気になるところから読めます!)

年金の脱退一時金とは?

脱退一時金とは、日本の公的年金制度に加入していた外国人が、条件を満たす場合に、これまで納めた年金額のうち一定割合を脱退一時金として受け取ることができる制度です。

老齢年金のように将来受け取る年金とは異なり、帰国後に、一定額を一時金として受け取ることができるものです。

対象となる方

日本の公的年金制度に加入してきた外国人の方のうち、一般的に次の要件を満たす必要があります。

  • 日本国籍を有していないこと
  • 国民年金または厚生年金保険の被保険者でなくなっていること
  • 日本国内に住所を有していないこと
  • 老齢年金の受給資格期間を満たしていないこと
  • 年金加入期間が6か月以上あること」
  • 障害年金などの受給権がないこと」
  • 資格喪失から2年以内に請求すること

※詳しい要件は個別の事情によって異なります。

国民年金・厚生年金のどちらも対象

脱退一時金は、

  • 国民年金
  • 厚生年金保険

のどちらについても対象となります。

ただし、支給額の計算方法は異なります。

全額返ってくるわけではありません

脱退一時金は、「支払った年金保険料がそのまま全額返ってくる制度」ではありません。

加入期間や加入していた制度などに応じて、基準に基づいて支給額が計算されます。

現在は最大5年(60か月)が算定対象

現在の制度では、**脱退一時金の支給額の計算対象となる加入期間は最大5年(60か月)**です。

例えば、日本で7年間厚生年金に加入していた場合でも、現在の制度では5年分を上限として計算されます。

請求するかどうかは慎重に判断を

脱退一時金を受給すると、その対象となった加入期間は、老齢年金の受給資格期間や年金額の計算に反映されなくなります。

将来、長期間日本で生活する可能性がある方は、一時金だけで判断せず、将来受け取る年金との関係も考慮することが大切です。

今後の制度改正のポイント

※以下は予定されている制度改正の内容です。この記事執筆時点では施行日は未定であり、現在は現行制度が適用されています。

① 算定対象期間が最大8年へ拡大予定

現在は最大5年(60か月)が計算対象ですが、新制度の施行後は、

  • 最大8年(96か月)

まで拡大される予定です。

これにより、日本で長期間働いた外国人にとっては、現在より多くの脱退一時金を受け取れる可能性があります。

② 受給要件の厳格化

制度改正では、みなし再入国許可により出国した場合は、脱退一時金が支給されないことが明確化される予定です。

みなし再入国許可とは、「日本での在留資格を維持したまま、一時的に出国する制度」です。

一方、脱退一時金は、日本での生活を終了し、日本から出国した方を対象とする制度です。

そのため、日本から完全に出国することを想定した制度であり、現行制度下で可能となっている「みなし再入国許可で出国し請求する」ということはできなくなる予定です。

よくある質問

日本にいる間に請求できますか?

原則として、日本を出国した後に請求します。

また日本へ来ても大丈夫ですか?

脱退一時金を受給したことを理由として、日本への入国や新たな在留資格の取得が制限されることはありません。

支払った年金は全部返ってきますか?

いいえ。

支払った保険料全額が返還される制度ではありません。

将来、日本で年金を受け取りたい場合は?

将来的に日本で老齢年金を受け取る可能性がある方は、脱退一時金を請求するかどうか慎重に検討することをおすすめします。

まとめ

脱退一時金は、日本で働いた外国人が帰国後に利用できる制度です。

現在は最大5年(60か月)が支給額の算定対象となっていますが、今後は最大8年(96か月)への拡大など、制度改正が予定されています。

また、制度改正では、みなし再入国許可による出国は対象外となることも明確化される予定です。

制度は改正されることがありますので、最新の情報を確認しながら、ご自身の将来設計に合わせて利用を検討しましょう。

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記事作成:在留資格申請取次行政書士 浅野

海外人材紹介会社、国内監理団体・登録支援機関での外国人材ビジネスを経験後、アンコール事務所を開設。

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