日本の年金制度とは?②|国民年金・厚生年金|保険料の免除・納付猶予
はじめに
日本で生活する外国人の方も、原則として日本の公的年金制度の対象となります。
しかし、年金制度は仕組みが複雑で、
- 会社で働いているときは、どの年金に入っているのか
- 会社を退職した後は、何をすればよいのか
- 配偶者の扶養に入れば、年金を払わなくてもよいのか
- 収入が少なくて保険料を払えない場合は、どうすればよいのか
など、分かりにくい点も少なくありません。
特に注意したいのが、就職、退職、転職、扶養関係の変更などによって、加入する年金制度が変わる場合です。
会社に勤務している間は、勤務先が厚生年金の手続きを行うことが一般的です。しかし、退職後に次の勤務先へすぐ入社しない場合などは、自分で国民年金への切替手続きをしなければならないことがあります。
また、国民年金保険料の支払いが難しい場合には、免除制度や納付猶予制度を利用できる可能性があります。
大切なのは、制度が分からないまま、何も手続きをせず放置しないことです。
この記事では、国民年金と厚生年金の違い、会社を退職した場合の手続き、保険料の免除・納付猶予制度について、外国人の方にも分かりやすく解説します。
目次(気になるところから読めます!)
日本の公的年金制度は「2階建て」
日本の公的年金制度は、すべての加入者に共通する国民年金を基礎として、会社員や公務員などが厚生年金にも加入する「2階建て」の仕組みになっています。
整理すると次のようになります。
国民年金
日本国内に住む20歳以上60歳未満の方が、原則として加入する基礎的な年金制度です。
自営業者、学生、無職の方、会社を退職して次の勤務先が決まっていない方などは、国民年金の第1号被保険者となることがあります。
厚生年金
会社員や公務員などが加入する年金制度です。
厚生年金へ加入している方は、国民年金にも加入しているものとして扱われます。
したがって、会社員の方が「国民年金には入っておらず、厚生年金だけに入っている」というわけではありません。
国民年金を基礎部分として、その上に厚生年金が加わる仕組みです。
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国民年金には3つの被保険者区分があります
国民年金の加入者は、働き方や扶養関係などによって、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者に分かれます。
第1号被保険者
第1号被保険者には、主に次のような方が該当します。
- 自営業者
- フリーランス
- 学生
- 無職の方
- 退職後、厚生年金に加入していない方
- 厚生年金加入者の扶養配偶者に該当しない方
第1号被保険者は、原則として自分で国民年金保険料を納付します。
加入手続きは、住所地の市区町村役場などで行います。
第2号被保険者
第2号被保険者は、厚生年金に加入している会社員や公務員などです。
通常は、勤務先が加入手続きを行い、本人負担分の保険料は給与から控除されます。
会社員の方は、厚生年金に加入することによって、同時に国民年金にも加入している扱いとなります。
第3号被保険者
第3号被保険者は、厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている、原則として20歳以上60歳未満の配偶者です。
年収などの要件があり、単に夫婦であるだけでは第3号被保険者になるわけではありません。また、収入が一定額未満でも、本人が勤務先で厚生年金の加入要件を満たす場合には、第3号被保険者ではなく、自ら厚生年金へ加入することがあります。
第3号被保険者の手続きは、原則として配偶者の勤務先を通じて行います。
会社で働いている方は厚生年金に加入します
勤務先が厚生年金の適用事業所であり、本人が加入要件を満たしている場合には、勤務先を通じて厚生年金へ加入します。
この場合、通常は勤務先が資格取得の手続きを行うため、本人が市区町村役場で国民年金加入の手続きをする必要はありません。
また、厚生年金保険料は、事業主と被保険者が負担し、本人負担分は給与から差し引かれるのが一般的です。
給与明細に、
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 雇用保険料
などの記載がある場合は、内容を確認してみましょう。
ただし、会社で働いているからといって、必ず厚生年金に加入しているとは限りません。
勤務時間や勤務日数、事業所の状況などによって加入関係が異なることがあるため、分からない場合は勤務先または年金事務所へ確認することが大切です。
会社を退職したら国民年金への切替が必要
年金手続きで特に注意したいのが、会社を退職したときです。
厚生年金に加入していた方が会社を退職し、次の勤務先で直ちに厚生年金へ加入しない場合には、原則として国民年金第1号被保険者への切替手続きが必要です。
退職した日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村役場の年金窓口で手続きをする必要があります。
例えば、
- 退職後しばらく仕事をしない
- 転職先への入社まで期間が空く
- 個人事業を始める
- 厚生年金の加入対象とならない働き方をする
といった場合です。
「2か月後に次の会社へ入社するから、その間は何もしなくてもよい」と考えてしまう方もいますが、空白期間について国民年金への切替が必要となることがあります。
短い期間だから自動的に処理されるとは限りません。
会社を退職した場合は、次の勤務先で厚生年金へ加入する日までの間について、国民年金の手続きが必要かを市区町村役場や年金事務所に確認しましょう。
国民年金保険料の免除制度とは
本人、配偶者、世帯主の前年所得が一定額以下の場合や、失業などにより保険料の納付が困難な場合には、申請によって国民年金保険料の全部または一部が免除されることがあります。
免除には、次の種類があります。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半額免除
- 4分の1免除
所得や世帯状況などに基づいて審査されるため、申請すれば必ず全額免除になるわけではありません。
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国民年金保険料の納付猶予制度とは
納付猶予制度は、一定の所得要件を満たす20歳以上50歳未満の方について、申請により保険料の納付を猶予する制度です。
免除制度では本人だけでなく、配偶者や世帯主の所得も審査対象になりますが、納付猶予制度では、本人と配偶者の所得が主な審査対象となります。
納付猶予が承認された期間は、老齢基礎年金などを受け取るために必要な受給資格期間には算入されます。
ただし、追納しない限り、将来受け取る老齢基礎年金の金額には反映されません。
「未納」と「免除・猶予」は同じではない
ここは、特に大切なポイントです。
国民年金保険料を納めていない期間があっても、
- 免除申請が承認された期間
- 納付猶予が承認された期間
- 学生納付特例が承認された期間
- 何も手続きをせず未納となっている期間
は、それぞれ扱いが異なります。
免除や猶予は、年金のルールを利用し、必要な申請を行った結果です。
一方、未納は、保険料を納付せず、免除や猶予などの手続きも行われていない状態です。
免除・猶予期間は受給資格期間に算入される場合がありますが、未納期間は原則として受給資格期間や年金額に反映されず、障害年金や遺族年金の受給要件にも影響する可能性があります。
また未納期間の発生は、その後の在留資格の維持にも影響してくる可能性があります。
したがって、支払うことが難しいのであれば、未納のまま放置するのではなく、免除や猶予の申請を検討することが大切です。
年金と在留資格の関係
年金は、老後の生活や、障害、死亡などの万一の場合に、本人と家族を支えるための大切な社会保障制度です。
一方で、在留資格手続においても、社会保険への加入状況や保険料の納付状況が重要になる場合があります。
特に永住許可に関するガイドラインでは、納税、公的年金、公的医療保険の保険料納付などの公的義務を適正に履行していることが求められています。
特に、国民年金の方は、未納が無いことはもちろん、期限内に納付していることが重要となります。
そのため、将来、永住許可申請を検討している方は、申請の直前になって初めて年金記録を確認するのではなく、普段から加入状況や納付状況を確認しておくことが重要です。
を早めに確認しておきましょう。
よくある質問
-
外国人も国民年金を払う必要がありますか?
-
日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の方は、外国人であっても、原則として国民年金制度の対象となります。
会社で厚生年金に加入している方は、勤務先を通じて年金保険料を納付します。
-
会社を退職したら自動的に国民年金へ切り替わりますか?
-
必ずしも自動的に必要な手続きが完了するとは限りません。
退職後すぐに別の会社で厚生年金へ加入しない場合は、原則として自分で国民年金への切替手続きを行う必要があります。
-
保険料を払えない場合は放置してもよいですか?
-
放置してはいけません。
所得が少ない場合や失業した場合などには、免除・納付猶予制度を利用できる可能性があります。早めに市区町村役場や年金事務所へ相談しましょう。
-
一部免除になれば保険料を払わなくてよいですか?
-
一部免除の場合は、減額後の残りの保険料を納付する必要があります。
残額を納付しなければ、未納期間として扱われるため注意してください。
まとめ
日本で長く安心して暮らすために、次の3点を押さえておきましょう。
- 環境が変わったら手続き: 就職・退職・結婚の際は年金の切替が必要
- 払えないときは申請: 未納で放置せず免除・納付猶予制度を利用する
- 在留資格に直結: 適切な加入と納付は在留資格の重要な審査対象
手続きで分からないことがあれば、早めに市区町村役場や年金事務所、専門家へご相談ください。
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記事作成:在留資格申請取次行政書士 浅野
海外人材紹介会社、国内監理団体・登録支援機関での外国人材ビジネスを経験後、アンコール事務所を開設。
ご相談について
在留資格(永住・技術・人文知識・国際業務・配偶者ビザ等)に関するご相談を承っております。
世田谷区を中心に、目黒区、渋谷区、品川区、大田区、江東区、江戸川区などからもご相談をいただいております。
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