引越しをしたら何をする?|自治体役所での転出届・転入届を解説

はじめに

日本で生活している外国人の方が引っ越しをするときは、荷物を運んで新しい家に住み始めれば終わり、ではありません。

市区町村への転出届・転入届・転居届など、住所に関する手続が必要です。

また、中長期在留者の方にとって住所変更は、単なる住民票の手続ではありません。

在留カードの住居地に関する届出でもあります。

「どこに届ければいいの?」

「転出届と転入届は何が違う?」

「入管にも行かなければいけない?」

そんな疑問を持つ外国人の方に向けて、引っ越しの際に必要な手続を順番に説明します。

将来、永住許可申請を考えている方にとっても大切な内容です。

目次(気になるところから読めます!)

引越し先によって手続が異なる

引越しの手続は、大きく分けると次の2つです。

引っ越し主な手続
同じ市区町村の中で引っ越す転居届
別の市区町村へ引っ越す旧住所で転出届 → 新住所で転入届

例えば、

東京都世田谷区奥沢 → 東京都世田谷区三軒茶屋

であれば、同じ世田谷区内なので「転居届」です。

一方、

東京都世田谷区 → 神奈川県川崎市

であれば、市区町村が変わるため、旧住所の市区町村で「転出届」を行い、新しい市区町村で「転入届」を行います。

名前が似ているのでややこしいのですが、まずは、

同じ市区町村=転居
別の市区町村=転出+転入

と覚えておけば分かりやすいでしょう。

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①同じ市区町村内で引っ越す場合|転居届


同じ市区町村内で住所が変わる場合には、転居届を提出します。

中長期在留者の場合、新しい住居地へ移転した日から14日以内に住居地の変更を届け出る必要があります。

届出先は、新しい住居地の市区町村の窓口です。

そして、外国人の方が特に忘れてはいけないのが、

在留カードです。

在留カードを市区町村の窓口へ持参して転居届を行うことによって、入管法上必要となる「住居地の変更届出」も行ったものとして扱われます。

ポイント

「役所で転居届をしたあと、住所変更のためだけに入管へ行く」必要は通常ありません。

市区町村で在留カードを提示して、きちんと住所変更の手続を行いましょう。

②別の市区町村へ引っ越す場合|転出届→転入届


別の市区町村へ引っ越す場合は、手続が2段階になります。

現在住んでいる市区町村で転出届

引っ越し

新しく住む市区町村で転入届

という流れです。

特に重要なのが、新しい住所で行う転入届です。

転入届は、実際に新しい住所へ引っ越した日から14日以内に行う必要があります。デジタル庁も、転入日から14日以内に転入先の市区町村へ転入届を提出する必要があると案内しています。

中長期在留者の方は、ここでも在留カードを忘れずに持参してください。

市区町村の窓口で在留カードを提示して転入届を行うことで、入管法上の住居地変更の届出も行ったものとして扱われます。

③転出届は引っ越す前に


転出届は、基本的には引っ越す前に、現在住んでいる市区町村へ届け出る手続です。

マイナンバーカードを持っている方は、条件を満たせばマイナポータルからオンラインで転出届を提出することもできます。

2023年2月から、マイナポータルを利用したオンライン転出届は全国の市区町村で利用できるようになっており、外国籍の方でも対象となるマイナンバーカードを持っていれば利用できます。

ただし、転入届そのものまでオンラインだけで完結するわけではありません。

新しい市区町村で転入手続を行う必要があります。

自治体によって案内や必要書類などが異なる場合がありますので、実際に引っ越す際は、現在の市区町村と転入先の市区町村の案内も確認してください。

Information

マイナポータルで転出届を出すには、マイナンバーカードに「署名用電子証明書」が設定されている必要があります

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④外国人の住所変更は「入管への届出」でもあります


ここは外国人の方にぜひ知っていただきたいところです。

中長期在留者が住居地を変更した場合、入管法上も、新しい住居地で住み始めた日から14日以内に住居地の変更を届け出る必要があります。

となると、市役所にも行って、さらに入管にも行くの?と思うかもしれませんが、通常はその必要はありません。

在留カードを持って市区町村で必要な転入届・転居届を行えば、転入の際には、在留カードの裏面に新住所を印字してもらうことができます。

そしてこのことで入管法上の住居地変更届も行ったものとみなされます。

だからこそ、「引っ越したけど、市役所の手続は後でいいや」と放置しないことが大切です。

Warning

在留カードを忘れて役所で手続きした場合: 住民票の手続き(転入・転居)だけが完了し、在留カード裏面への新住所印字が行われないため、後日カードを持参するか入管へ届出が必要になるケースがあります。必ず在留カードを持参して手続きすることをお勧めします。

⑤14日を過ぎてしまったら?


「忙しくて忘れていた」

「手続が必要だと知らなかった」

「もう14日を過ぎてしまった」

という方もいるでしょう。

だからといって、さらに放置するのはおすすめできません。

中長期在留者の住居地変更については、入管庁が明確に新住居地へ移転した日から14日以内と定めています。

さらに重要なのは、長期間にわたって新しい住居地を届け出ない場合です。

入管庁は、中長期在留者が届け出た住居地から退去した後、90日以内に新しい住居地を届け出なかった場合、正当な理由がなければ在留資格取消しの対象となり得ると説明しています。

もちろん、

「14日を1日過ぎた=在留資格取消し」

という話ではありません。

しかし、必要な届出をしない状態をそのままにしておくべきではありません。

期限を過ぎていることに気付いた場合は、放置せず、すみやかに市区町村などへ確認して手続を行いましょう

⑥将来、永住申請を考えている方は特に注意


「住所変更くらい、永住申請とは関係ないでしょう」と思うかもしれません。

ところが、そう簡単には考えられません。

「永住許可に関するガイドライン」では、永住が日本国の利益に合するかを判断する際の要素として、入管法上の義務の遵守について、かなり明確な考え方が示されており、住居地届出等の各種届出義務などが守られていない場合には、申請について消極的に評価するとされています。

「必要な公的手続を、決められた時期にきちんと行ってきたか」という点は、日本で長く暮らし、将来永住を希望する方にとって軽く考えるべき問題ではありません。

税金、年金、健康保険だけではありません。

「住所変更や入管への各種届出も忘れずに行う。」

これが大切です。

⑦郵便局への転居届も忘れないように


役所の手続が終わって、

「これで全部終わった!」

……となりがちですが、もう一つあります。

郵便物です。

市区町村で住所変更をしても、それだけで旧住所宛ての郵便物がすべて新住所へ転送されるわけではありません。

日本郵便には転居・転送サービスがあります。

郵便局窓口、ポストへの投函、またはオンラインの「e転居」などから転居届を提出すると、届出日から1年間、旧住所宛ての郵便物等を新住所へ無料で転送してもらえます。

なお、日本郵便によると登録まで3~7営業日かかるため、早めの手続がおすすめです。

Information

なぜ郵便の転送がそんなに大切なの?

外国人の方に私が特に気を付けていただきたいのは、公的機関から届く郵便物です。

例えば、

  • 住民税の納付書やお知らせ
  • 国民年金に関する書類
  • 国民健康保険に関する書類
  • 市区町村からの重要なお知らせ
  • その他、公的機関からの通知

などが届くことがあります。

旧住所のままにしていると、

  • 「納付書が届いていなかった」
  • 「重要な通知に気付かなかった」

ということが起こり得ます。

しかし、税金や社会保険料について、「郵便物を見ていなかったから」ですべて済むとは限りません。

特に将来の永住許可申請を考えている方は、住所変更と一緒に郵便の転送手続も済ませておくことをおすすめします。

なお、日本郵便の転送期間は転居届を提出した日から1年間です。また、「転送不要」などと指定された郵便物は転送サービスの対象外です。

そのため、郵便転送だけに頼らず、必要に応じて銀行、勤務先、保険会社などの住所変更も行いましょう。


引っ越したら、この7つをチェック

最後に、引っ越しの際に確認したいことをまとめます。

  • 別の市区町村へ引っ越すなら「転出届」
  • 新しい市区町村では「転入届」
  • 同じ市区町村内なら「転居届」
  • 転入・転居の手続では在留カードを忘れない
  • 新しい住居地の届出は原則14日以内
  • マイナンバーカード、健康保険など必要な住所変更も確認
  • 日本郵便の転居・転送サービスも忘れない

引っ越しは、新しい家に荷物を運んだら終わりではありません。

住所に関係する公的手続まで終えて、初めて「引っ越し完了」です。

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よくある質問


引っ越したら入管にも行かなければいけませんか?

中長期在留者が在留カードを持参して市区町村で転入届・転居届など必要な手続を行った場合、入管法上の住居地変更届も行ったものとみなされます。そのため、住所変更だけを理由として別途入管へ出向く必要は通常ありません。

転入届はいつまでですか?

新しい住所に住み始めた日から14日以内です。

14日を過ぎてしまいました。もう手続できませんか?

期限を過ぎたからといって、そのまま放置しないでください。できるだけ早く市区町村へ相談し、必要な手続を行いましょう。

郵便局への転居届を出せば、役所の転出届・転入届は不要ですか?

いいえ。まったく別の手続です。

郵便局の転居届は、旧住所宛ての郵便物等を新住所へ転送してもらうためのサービスです。

市区町村への転出届・転入届・転居届の代わりにはなりません。


まとめ|「知らなかった」で困らないために

外国人の方にとって、日本の行政手続は分かりにくいものが少なくありません。

特に引っ越しは、

転出届、転入届、転居届、在留カード、マイナンバーカード、郵便転送……

と、短期間にいくつもの手続が重なります。

分からなければ、放置せず、市区町村や関係機関へ確認しましょう。

日本で長く安心して暮らしていくためにも、一つひとつの手続をきちんと済ませておくことが大切です。


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記事作成:在留資格申請取次行政書士 浅野

海外人材紹介会社、国内監理団体・登録支援機関での外国人材ビジネスを経験後、アンコール事務所を開設。

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