1 封印の意義と必要性
自動車は、大量に生産され使用されるため、その所有者を特定し、所有権を明確にする必要があります。
そこで、道路運送車両法(以下「車両法」)では、自動車(軽自動車、二輪の自動車を除く)について、国土交通大臣による登録制度を設けています。
それぞれの自動車を登録することによって、その自動車の所有権を公証することとされています。
登録番号とナンバープレート
登録された自動車には、国土交通大臣(その権限は運輸支局長に委任)※が登録番号を指定します。
そして、その登録番号を記載した「自動車登録番号標(ナンバープレート)」を、国土交通大臣の指定を受けた者(交付代行者)が交付します。
このように、ナンバープレートは、自動車の所有権を公証するために必要不可欠なものとして重要な役割を果たします。
そのため、ナンバープレートをみだりに取り外したり、付け替えたりすることを防止するために設けられたのが封印制度です。
※道路運送車両法の多くでは国土交通大臣、施行規則の多くは国土交通大臣ではなく、運輸監理部長又は運輸支局長になっていることに注意が必要です。
2 道路運送車両法における封印
道路運送車両法第11条第1項
車両法第11条第1項では、自動車の所有者は、自動車登録番号の通知を受けたときは、
- 当該番号を記載したナンバープレートの交付を受ける
- ナンバープレートを当該自動車に取り付ける
- 国土交通大臣(総称して「封印受託者」)の行う封印の取付けを受ける
こととされています。
道路運送車両法第19条
車両法第19条では、ナンバープレートについて、
- 省令で定める位置に表示すること
- ナンバープレートを被覆しないこと
- その他、ナンバープレートに記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして、省令で定める方法により表示すること
が求められています。
これらの方法によってナンバープレートを表示しなければ、自動車を運行の用に供してはならないとされています。
3 封印を取り外すことは禁止されている
車両法第11条第5項では、「何人も封印を取り外してはならない」と規定されています。
また、車両法第11条第1項、第19条の規定に違反した者については、車両法第109条により、「50万円以下の罰金」に処すると規定されています。
4 封印は自動車登録における「最後の手続き」
このように「封印」は、
- 自動車が新規検査に合格し、または登録が無事に終わったこと
- 関連する自動車諸税の納付も完了したこと
- 道路を運行することができるようになったこと
を証するため、最後の手続きとして取り付けられる重要なものです。
5 出張封印とは
封印制度では、自動車の登録手続が完了した最後の手続として、「封印受託者による封印の取付け」が行われます。
一般的に関東では、陸運局内の「関東陸運振興センター(通称:ナンバーセンター)」が甲種封印受託者として、その実務を代行しています。
なお、封印受託者には、甲・乙・丙・丁の4種類があります。
| 種類 | 受託者の概要 | 主なイメージ |
|---|---|---|
| 甲種受託者 | 乙種・丙種・丁種受託者以外の受託者 | ナンバープレートの交付代行者等 |
| 乙種受託者 | 完成検査終了証のある自動車の販売を業とする者で、一定の場合に必要となる封印取付けの委託を受けた者 | 新車ディーラー等 |
| 丙種受託者 | 自動車の販売を業とする者を構成員とする団体で、一定の場合に必要となる封印取付けの委託を受けた者 | 中古車販売関係団体等 |
| 丁種受託者 | 行政書士法第15条に規定する行政書士会で、一定の場合に必要となる封印取付けの委託を受けた者 | 都道府県行政書士会 → 丁種会員行政書士 |
通常の封印では実車の提示が必要
登録手続のため実車を持ち込み、諸般の手続が完了してナンバープレートが交付された際には、実車の提示が必要不可欠となります。
そのため、申請者にとっても負担のかかる手続となります。
出張封印では、封印の取付作業を代行する
そこで、封印委託を受けた封印代行実施者が、
- 交付されたナンバープレート
- 封印
を持参し、封印の取付作業を代行する制度が「出張封印」です。
つまり、出張封印とは、登録手続の際に実車を持ち込んで封印を受けるのではなく、封印代行実施者が自動車の所在場所へナンバープレートと封印を持参し、封印の取付作業を代行する制度です。
6 甲種受託者の封印代行実施者としての行政書士(平成14年~平成29年3月)
丁種封印受託者制度が創設される以前にも、行政書士は甲種受託者の封印代行実施者として出張封印を行っていました。
制度開始当初の特色
当時、行政書士が封印代行実施者となるためには、
- 賠償保険へ加入すること
- 単位会会長の推薦を受けること
- 甲種受託者の各支部と契約すること(同一都県内)
などが必要とされていました。
対象となったのは、申請者が運輸支局等へ出頭する負担を軽減するための、「管轄変更」を伴う「変更登録」「移転登録」です。
行政書士がユーザーの車庫へ出張し、施封することができました。原則として、施封場所は車検証上の車庫とされていました。
当初は、
- 個人ユーザー間の売買
- 引越し
などに対象が限定され、さらに郵送等による依頼であることが条件とされていました。
平成18年1月 対象範囲の拡大
制度開始以来、概ね順調に実施されてきたことから、対象範囲が拡大されました。
具体的には、
- 郵送要件の廃止
- 法人ユーザーへの拡大(古物商などを業とする者を除く)
が行われ、行政書士が取り扱うことのできる業務が増加しました。
平成18年10月 「ご当地ナンバー」の導入
「ご当地ナンバー」の導入に伴い、さらに対象範囲が拡大されました。
対象となったのは、
- 旧ナンバーからご当地ナンバーへの「番号変更」
- ユーザーの希望する車庫での施封
です。
平成20年2月 OSSへの対応
OSSの利用促進のため、新車新規についてもOSSの場合には出張封印が可能となりました。
ただし、これは甲種のみとされています。
平成26年11月 ご当地ナンバーへの対応
東京都内で、
- 「杉並」
- 「世田谷」
のご当地ナンバーの交付が開始されました。
これに伴い、地元自治体から行政書士会支部への依頼も行われました。
7 丁種受託者としての行政書士(平成29年4月1日~)
丁種封印受託者制度が始まった背景
ラグビーナンバーの交付開始に合わせ、国土交通省から通達が変更されました。
これにより、
- 完成検査以外の新規登録
- 管轄変更
- 番号変更を伴わない「交換」
などにも、出張封印の対象が拡大されました。これは甲種出張封印に関する制度変更です。
「丁種封印受託者」の創設
同時に、「丁種封印受託者」が創設されました。
自動車関連団体以外では初めてとなる行政書士会への封印取付け業務の委託が行われ、丁種封印受託者の制度が始まりました。
準備の整った単位会から「丁種会員名簿」等を運輸支局に提出し、順次スタートしました。
8 丁種封印の拡大(東京都)
平成29年10月
五輪ナンバーの交付開始に合わせ、東京都行政書士会では、東京運輸支局(都全域)からの丁種封印の運用がスタートしました。
平成30年度
都県の境を越え、
- 埼玉
- 神奈川
- 山梨
- 千葉
- 茨城
- 群馬
- 栃木
の各運輸支局(県全域)からも委託を受け、地域的な範囲が関東運輸局管内全域1都7県に拡大されました。
平成30年9月1日
国土交通省による要領と運用の改訂により、新規登録における丁種委託の対象に**「完成検査終了証」**が加わりました。
また、乙種および丙種の構成員が販売する自動車であっても、書類作成を依頼された自動車であり、その管轄において乙・丙が再委託できない(委託を受けていない)場合には、丁種出張封印が可能となりました。
そのほか、他県の行政書士会に所属する行政書士への行政書士間の再々委託が、制度として可能となりました。
9 行政書士間の再々委託
平成31年4月
東京都行政書士会では、理事会において規則の一部改正が承認され、行政書士間の再々委託制度の運用が開始されました。
再々委託の場合、丁種会員が封印の現場に立ち会わないため、委託先との連携を密にするなど、運用には慎重を期する必要があります。
なお、他会の行政書士からの丁種封印再々委託については、東京都行政書士会封印管理特別委員会の管轄外となります。
10 その後の丁種封印制度
令和2年5月
「江東」「葛飾」「板橋」のご当地ナンバーの交付が開始されました。
令和3年
東京都行政書士会(封印管理特別委員会)は、受託地域の拡大に向けた準備を開始しました。
令和4年
全国の運輸支局から委託を受けることとなりました。
令和6年
規則等の改正により、丁種封印委託の範囲が拡大され、乙・丙受託者からの依頼も受任可能となりました。
また販売店やユーザーが登録のみを済ませた(封印されていない状態)車両について、施封業務のみの依頼を受け、封印受領および出張封印ができるようになりました。
※登録業務と施封業務が切り離され施封業務のみを単独で行うことができるようになる
一方、令和6年には、大手ディーラー系販売店での封印委託において不祥事が発覚しました。
全国的な調査により、多数の受託者が委託停止などの処分を受けました。
前編まとめ
ここまで、封印制度の意義から、出張封印制度が確立された背景、そして行政書士会が丁種封印受託者となり、制度が拡大してきた経緯までを整理しました。
後編では、実際に丁種封印を行う場合の「登録手続きから封印取付けまでの業務フロー」について整理します。
穴埋めクイズ
1 封印の意義と必要性
自動車は、大量に生産され使用されるため、その所有者を特定し、( 1 )を明確にする必要があります。
そこで、( 2 )法(以下「車両法」)では、自動車(軽自動車、二輪の自動車を除く)について、国土交通大臣による登録制度を設けています。
それぞれの自動車を登録することによって、( 3 )することとされています。
登録番号とナンバープレート
登録された自動車には、国土交通大臣(その権限は運輸支局長に委任)※が( 4 )を指定します。
そして、その登録番号を記載した「( 5 )」を、国土交通大臣の指定を受けた者(交付代行者)が交付します。
このように、ナンバープレートは、自動車の所有権を公証するために必要不可欠なものとして重要な役割を果たします。
そのため、ナンバープレートをみだりに( 6 )したり、( 7 )したりすることを防止するために設けられたのが封印制度です。
※道路運送車両法の多くでは国土交通大臣、施行規則の多くは国土交通大臣ではなく、運輸監理部長又は運輸支局長になっていることに注意が必要です。
【答え】
- 所有権
- 道路運送車両
- その自動車の所有権を公証
- 登録番号
- 自動車登録番号標(ナンバープレート)
- 取外し
- 付替え
2 道路運送車両法における封印
道路運送車両法第11条第1項
車両法( 1 )では、自動車の所有者は、自動車登録番号の通知を受けたときは、
- ( 2 )
- ( 3 )
- ( 4 )
こととされています。
道路運送車両法第19条
車両法第19条では、( 5 )について、
- ( 6 )に表示すること
- ナンバープレートを( 7 )しないこと
- その他、ナンバープレートに記載された( 8 )に支障が生じないものとして、( 9 )で定める方法により表示すること
が求められています。
これらの方法によってナンバープレートを表示しなければ、( 10 )してはならないとされています。
【答え】
- 第11条第1項
- 当該番号を記載したナンバープレートの交付を受ける
- ナンバープレートを当該自動車に取り付ける
- 国土交通大臣(総称して「封印受託者」)の行う封印の取付けを受ける
- ナンバープレート
- 省令で定める位置
- 被覆
- 自動車登録番号の識別
- 省令
- 自動車を運行の用に供
3 封印を取り外すことは禁止されている
車両法( 1 )では、「何人も封印を取り外してはならない」と規定されています。
また、車両法第11条第1項、第19条の規定に違反した者については、車両法( 2 )により、「( 3 )万円以下の罰金」に処すると規定されています。
【答え】
- 第11条第5項
- 第109条
- 50
4 封印は自動車登録における「最後の手続き」
このように「封印」は、
- 自動車が( 1 )し、または( 2 )が無事に終わったこと
- 関連する( 3 )も完了したこと
- ( 4 )することができるようになったこと
を証するため、最後の手続きとして取り付けられる重要なものです。
【答え】
- 新規検査に合格
- 登録
- 自動車諸税の納付
- 道路を運行
5 出張封印とは
封印制度では、自動車の登録手続が完了した最後の手続として、「( 1 )」が行われます。
一般的に関東では、陸運局内の「関東陸運振興センター(通称:ナンバーセンター)」が( 2 )として、その実務を代行しています。
なお、封印受託者には、甲・乙・丙・丁の4種類があります。
| 種類 | 受託者の概要 | 主なイメージ |
|---|---|---|
| 甲種受託者 | ( 3 )の受託者 | ナンバープレートの交付代行者等 |
| 乙種受託者 | ( 4 )を業とする者で、一定の場合に必要となる封印取付けの委託を受けた者 | ( 5 )等 |
| 丙種受託者 | ( 6 )を構成員とする団体で、一定の場合に必要となる封印取付けの委託を受けた者 | ( 7 )等 |
| 丁種受託者 | ( 8 )に規定する行政書士会で、一定の場合に必要となる封印取付けの委託を受けた者 | 都道府県行政書士会 → 丁種会員行政書士 |
通常の封印では実車の提示が必要
登録手続のため実車を持ち込み、諸般の手続が完了してナンバープレートが交付された際には、( 9 )が必要不可欠となります。
そのため、申請者にとっても負担のかかる手続となります。
出張封印では、封印の取付作業を代行する
そこで、封印委託を受けた( 10 )が、
- ( 11 )
- 封印
を持参し、( 12 )する制度が「出張封印」です。
つまり、出張封印とは、登録手続の際に実車を持ち込んで封印を受けるのではなく、封印代行実施者が自動車の所在場所へナンバープレートと封印を持参し、封印の取付作業を代行する制度です。
【答え】
- 封印受託者による封印の取付け
- 甲種封印受託者
- 乙種・丙種・丁種受託者以外
- 完成検査終了証のある自動車の販売
- 新車ディーラー
- 自動車の販売を業とする者
- 中古車販売関係団体
- 行政書士法第15条
- 実車の提示
- 封印代行実施者
- 交付されたナンバープレート
- 封印の取付作業を代行
6 丁種受託者としての行政書士(平成29年4月1日~)
丁種封印受託者制度が始まった背景
ラグビーナンバーの交付開始に合わせ、国土交通省から通達が変更されました。
これにより、
- 完成検査以外の新規登録
- 管轄変更
- 番号変更を伴わない「交換」
などにも、出張封印の対象が拡大されました。これは甲種出張封印に関する制度変更です。
「丁種封印受託者」の創設
同時に、「( 1 )」が創設されました。
自動車関連団体以外では初めてとなる( 2 )が行われ、丁種封印受託者の制度が始まりました。
準備の整った単位会から「丁種会員名簿」等を運輸支局に提出し、順次スタートしました。
【答え】
- 丁種封印受託者
- 行政書士会への封印取付け業務の委託
7 丁種封印の拡大(東京都)
平成29年10月
五輪ナンバーの交付開始に合わせ、東京都行政書士会では、( 1 )からの丁種封印の運用がスタートしました。
平成30年度
都県の境を越え、
- 埼玉
- 神奈川
- 山梨
- 千葉
- 茨城
- 群馬
- 栃木
の各運輸支局(県全域)からも委託を受け、地域的な範囲が( 2 )に拡大されました。
平成30年9月1日
国土交通省による要領と運用の改訂により、新規登録における丁種委託の対象に「( 3 )」が加わりました。
また、乙種および丙種の構成員が販売する自動車であっても、( 4 )を依頼された自動車であり、その管轄において( 5 )できない(委託を受けていない)場合には、丁種出張封印が可能となりました。
そのほか、( 6 )が、制度として可能となりました。
【答え】
- 東京運輸支局(都全域)
- 関東運輸局管内全域1都7県
- 完成検査終了証
- 書類作成
- 乙・丙が再委託
- 他県の行政書士会に所属する行政書士への行政書士間の再々委託
8 行政書士間の再々委託
平成31年4月
東京都行政書士会では、理事会において規則の一部改正が承認され、行政書士間の( 1 )制度の運用が開始されました。
再々委託の場合、丁種会員が封印の現場に立ち会わないため、委託先との連携を密にするなど、運用には慎重を期する必要があります。
なお、他会の行政書士からの丁種封印再々委託については、( 2 )となります。
【答え】
- 再々委託
- 東京都行政書士会封印管理特別委員会の管轄外
9 その後の丁種封印制度
令和2年5月
「江東」「葛飾」「板橋」のご当地ナンバーの交付が開始されました。
令和3年
東京都行政書士会(封印管理特別委員会)は、受託地域の拡大に向けた準備を開始しました。
令和4年
( 1 )から委託を受けることとなりました。
令和6年
規則等の改正により、丁種封印委託の範囲が拡大され、( 2 )からの依頼も受任可能となりました※。
また販売店やユーザーが登録のみを済ませた(封印されていない状態)車両について、( 3 )のみの依頼を受け、封印受領および出張封印ができるようになりました※。
※( 3 )と( 4 )が切り離され施封業務のみを単独で行うことができるようになる
一方、令和6年には、大手ディーラー系販売店での封印委託において不祥事が発覚しました。
全国的な調査により、多数の受託者が委託停止などの処分を受けました。
【答え】
- 全国の運輸支局
- 乙・丙受託者
- 施封業務
- 登録業務

