日本の年金制度とは?④|脱退一時金請求・所得税還付の手続き概要

はじめに

外国人の方が日本を離れる際には、一定の条件を満たせば「脱退一時金」を受け取ることができます。

また、厚生年金の脱退一時金を受給した場合には、支給時に源泉徴収された所得税について、還付を受けられる場合があります。

本記事では、脱退一時金の制度そのものではなく、「どのような流れで手続きを進めるのか」といった概要の面を中心に解説します。

目次(気になるところから読めます!)

脱退一時金請求の流れ

脱退一時金の手続きは、大きく分けると次のような流れになります。

  1. 必要書類を準備する
  2. 日本で転出届を提出する
  3. 日本を出国する
  4. 日本年金機構へ請求書を提出する
  5. 脱退一時金を受け取る
  6. 【厚生年金の方のみ】所得税の還付手続きを行う

それぞれ見ていきましょう。

STEP1:必要書類を準備する

まずは請求に必要な書類を準備します。

一般的には、次のような書類が必要になります。

書類名確認事項
パスポートの写し
(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格の確認できるページ)
本人請求であることの確認用
日本国内に住所を有しないことが確認できる書類
(住民票の除票の写しやパスポートの出国日が確認できるページの写し等)
日本から出国していることの確認用
※帰国前に市区町村に転出届を提出している場合は不要
(ただし、日本年金機構が外国人のアルファベット氏名の管理を開始した「平成24年7月」以前から被保険者である場合など、日本年金機構でアルファベット氏名を把握しておらず、住民票の消除情報を確認できない場合には必要)
受取先金融機関名、支店名、支店の所在地、口座番号、請求者本人の口座名義であることを確認できる書類
(金融機関が発行した証明書等。)
受取可能な金融機関(※)であることおよび請求者本人名義の口座であることの確認用
※ゆうちょ銀行および一部インターネット専業銀行では脱退一時金を受取り不可
※日本国内の金融機関で受け取る場合は、口座名義がカタカナで登録されていること
基礎年金番号通知書または年金手帳等基礎年金番号及び年金の加入期間の確認用
代理人が請求手続きを行う場合は「委任状」受任者からの請求手続きであることの確認用
※詳細は「年金Q&A:代理人を通じて、脱退一時金の請求を行うことはできますか。」を確認

書類は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

STEP2:市区町村役所へ転出届を提出する

お住いの市区町村の役所へ転出届を提出します。

住民票が除票となることで、日本国内に住所がなくなります。

STEP3:日本を出国する

脱退一時金は、日本国内に住所を有しないことが要件の一つです。

そのため、帰国後に請求を行います。

住民票の除票の写しが脱退一時金申請で必要になる場合があります。
詳細は上記の表をご参照ください。

STEP4:請求書を提出する

必要書類が揃ったら、日本年金機構へ請求書を提出します。

郵送のほか、電子申請に対応している手続きもあります。

請求者(本人または代理人)が、脱退一時金請求書および添付書類を日本年金機構等へ提出してください。

区分内容
提出先日本年金機構本部または各共済組合等(※1)へ提出
※1:加入していた制度およびその期間により提出先が異なります。
提出方法郵送または電子申請(※2)で提出してください。
ただし、旅行など就労以外の目的で来日した場合には、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口での提出が可能です。
※2:電子申請は、e-Govの電子申請サイト上にある「手続検索」機能において「電子申請用送付書(年金給付用)」と検索し、申請画面に必要事項を入力のうえ、「届書名称」のプルダウンから脱退一時金請求書を選択してください。なお、PDF形式またはJPEG形式で保存した脱退一時金請求書の電子添付が必要となりますので注意してください。
提出時期日本の住所をなくして出国後2年以内に提出してください。

国民年金・厚生年金保険の期間のみである方の請求先

日本滞在中の年金の加入期間が、国民年金または厚生年金保険の期間のみである場合の脱退一時金は、日本年金機構あてに請求手続きを行います。

共済組合等の期間を有する方の請求先

共済組合等の加入期間がある方の脱退一時金は、国民年金・厚生年金保険・共済組合等を合算して、ひとつの実施機関が取りまとめて支給する仕組みとなっています。

1.国民年金の保険料納付済期間等が6月未満で、国民年金の脱退一時金が支給されない場合には、最後に加入していた被用者年金の実施機関(日本年金機構または各共済組合等)で取りまとめて支給するので、

  • 最後の加入が厚生年金保険(共済組合等以外)の場合は日本年金機構
  • 最後の加入が共済組合の場合は各共済組合等

あてに請求手続きを行います。

2.国民年金の保険料納付済期間等が6月以上あり、国民年金の脱退一時金が支給される場合には、日本年金機構が取りまとめて支給しますので、日本年金機構あてに請求手続きを行います。

STEP5:脱退一時金が支給される

審査が終了すると、指定した海外口座などへ脱退一時金が振り込まれます。

また、支給決定通知書も送付されます。

この通知書は、後述する所得税の還付手続きで必要となるため、大切に保管してください。

厚生年金は所得税が源泉徴収されます

厚生年金の脱退一時金には、所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。

一方で、国民年金の脱退一時金については、原則として源泉徴収は行われません。

そのため、厚生年金の脱退一時金を受け取った方は、所得税の還付を受けられる可能性があります。

所得税の還付手続きの流れ

所得税の還付を受けるためには、日本を出国する前に「納税管理人」を選任しておく必要があります。

納税管理人とは、本人に代わって日本国内で税務手続きを行う人です。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 出国前に納税管理人を税務署へ届け出る
  2. 脱退一時金と支給決定通知書を受領する
  3. 納税管理人が税務署へ還付申告を行う
  4. 還付金を受け取る

納税管理人を選任していない場合、日本国外から直接還付申告を行うことはできません。

出国後でも選任届の提出は可能ですが、スムーズな手続きのために出国前の選任をおすすめします。

手続きを依頼する場合の注意点

脱退一時金の請求および所得税の還付手続きを代理(代行)することは、以下の専門職に限定された「独占業務」です。

  • 脱退一時金請求の代理 = 社会保険労務士の独占業務
Danger

社労士法:社労士法第27条(業務の制限)により、「他人の求めに応じ報酬を得て」社労士業務を行うことが禁止されています。

  • 所得税の還付申告 = 税理士の独占業務
Danger

税理士法:還付申告の代理・代行は「有償・無償を問わず」税理士の独占業務です(無償であっても無資格者が行うと税理士法違反になります)

専門家へ依頼される際は、各資格を有するプロであることを確認のうえご相談いただくようご注意ください。

まとめ

帰国準備で忙しい時期ですが、必要書類の準備や納税管理人の手続きなど、出国前に進めておくべきことも多くあります。余裕をもって準備を進めましょう。

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