資格概要 -Overview-

資格の趣旨

この在留資格は、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める外国籍の方に許可されます。一般の在留資格でカバーされない外国人に対して設けられたもので、他の在留資格のような明確な要件は規定されておりません。基本的に日本で長期間生活することが想定されています。日本人の配偶者や元配偶者、難民認定者など、多様な背景を持つ外国人に与えられます。この資格を得ることで、国内で自由に働き、生活を安定させることが可能になります。

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② 資格要件

定住者在留資格を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。これらの要件は申請者の状況によって異なります。

【日本との特別な関係があること】

日本人の配偶者である外国人、日系人、元難民など、日本との特別な関係がある外国人。日系3世や4世、または離婚や死別後も日本での生活を継続したい元配偶者などが対象。

【生活の基盤が安定していること】

安定した生活を送ることができる経済基盤を持っていることが求められます。これは、収入が安定していることや、住居が確保されていることが必要です。家族を扶養する能力があることも重要な要件です。

【素行が良好であること】

国内で法律や規則を守り、社会的に良好な素行を維持していることも重要です。過去に重大な犯罪や違法行為があった場合、定住資格の取得が難しくなります。

【その他特定の事情】

申請者の個別の事情により、特別な理由で定住が認められることもあります。特定技能や技能実習を修了した人、難民認定者も資格を取得できる場合があります。

【告示定住】

「告示定住」とは、出入国在留管理庁が告示で定めるケースを指します。おおまかな要件のみ以下に記載します。

  • 国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要なものと認め我が国に対してその保護を推薦する者
  • 日本人の子として出生した者の実子(日本人の孫)
  • 日本人の子として出生した者でかつて元日本国籍者の実子の実子
  • 日本人の配偶者等、定住者の在留資格者で日本人の子の配偶者
  • 日本人、永住者、特別永住者、定住者の未成年で未婚の実子

【告示外定住】

「告示外定住」とは、個別の事情を考慮して定住者として認められる在留資格のことです。個別の理由を詳細に説明し証拠を提出する必要があります。

  • 日本人の配偶者と離婚または死別した外国人で、引き続き日本で生活する事情がある場合
  • 永住者の配偶者と離婚した外国人で、引き続き日本での生活が必要と認められる場合
  • 特別な人道的配慮が必要な外国人
  • ほか

必要書類・審査期間・不許可事例

③ 必要書類の例(連れ子ビザ申請)

日本人の方が外国人夫(または妻)の連れ子を扶養する場合に必要な書類は以下のとおりです。

【共通書類】

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真

【扶養する方に関する書類】

  • 扶養者の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
  • 扶養者の住民票(世帯全員の記載があるもの) 1通
  • 扶養者の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 
  • 【職業・収入を証明するもの】
  • 扶養者が会社に勤務している場合 の在職証明書
  • 扶養者の確定申告書の控えの写し(自営業等の場合)
  • 扶養者の営業許可書の写し(自営業等の場合)
  • 日本人及び日本人の配偶者の方が無職である場合 預貯金通帳の写し(扶養者が無職の場合)

【その他】

  • 身元保証書 1通
  • 理由書
  • 申請人の本国(外国)の機関から発行された出生証明書
  • 申請人の本国(外国)の機関から発行された認知に係る証明書(認知に係る証明書がある方のみ)
  • 嘆願書
  • 家族で写った画像
  • SNSやメールのメッセージ記録

※その他、家族の状況に応じた書類

④ 審査期間

「定住者」の在留資格の審査期間は、3か月から6か月程度ですが、申請の内容や提出書類に不備がある場合や、審査の繁忙期には、審査がさらに長引くこともあります。審査が無事に終了すると、「定住者」の在留資格が許可され、在留カードに「定住者」として記載されます。この資格を取得した後、申請者は定期的(6ヶ月、1年、3年、5年毎)に在留期間の更新を行う必要がありますが、通常は安定した生活基盤がある限り、資格の継続が認められます。

⑤不許可事例

定住者ビザの申請は、「特別な事情」 が認められることが重要です。以下の不許可事例を参考に、しっかりと事前準備をして申請する必要があります。

【日本での生活基盤が不十分】

  • 申請者または扶養者の 経済状況が不安定 で、生活が維持できるか疑問視された場合(低収入、非正規雇用、十分な貯蓄なしなど)
  • 住居が確保されていない、または不安定

【在留資格変更・更新が不相当】

  • 既存の在留資格の趣旨に合致しない申請(技術・人文知識・国際業務ビザの更新が難しくなり、定住者への変更を試みるが、要件を満たさないなど)
  • 「特別な事情」がないと判断された場合(日系人4世が特例措置を受けられないケースなど)

【家族滞在・日本人配偶者ビザからの変更での不許可】

  • 離婚・死別後の定住者申請で、自立が困難と判断された(離婚したが日本での生活実績が浅く、経済的にも自立できる見込みがないなど)
  • 日本人の配偶者ビザから定住者への変更で、 婚姻の実態が乏しいと判断された(短期間での離婚や偽装結婚の疑いなど)

【素行不良や入管法違反による不許可】

  • 過去に不法滞在やオーバーステイの履歴がある
  • 犯罪歴(窃盗・暴力事件・薬物関連など)がある
  • 税金や社会保険の未納(住民税、国民健康保険など)

【その他の理由】

  • 提出書類の不備や虚偽申告
  • 日本での活動目的が不明確

まとめ

「定住者」の在留資格には、多くの書類が必要となり、また時系列や理由など、すべての面で整合がとれていることを確認しなければなりません。不許可の確率を可能な限り低減させるために、入国管理局の審査に適した書類作成や手続きに精通した行政書士に相談/依頼することも検討してみて良いかもしれません。

記事作成:浅野 長慈 (在留資格申請取次行政書士)

地方公共団体勤務の後、海外人材紹介会社、国内監理団体にて外国人材ビジネスを経験。2024年、アンコール事務所を開設。