「これまで学んだ専門的な知識や技術を活かして日本で仕事をする」そんなときに必要になるのが、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格(通称:技人国ビザ)です。でも、申請にあたっては「どんな書類が必要か分からない」「書類の不備で不許可にならないか心配」「自分の経歴が条件に合っているのか不安」など技人国ビザの申請には不安や疑問がつきものです。とくに初めて申請される方や、転職・更新のタイミングで申請される方は慎重な準備が必要です。「これから申請する方」も「ビザ更新を控えている方」もぜひ最後までお読みください。

▶ このページでわかること(気になるところから読めます!)

技人国ビザってどんなビザ?

ビザの取得に必要な要件とは?

技人国ビザ申請の必要書類と審査期間は?

技人国ビザが不許可になるケースとは?

技人国ビザに関するよくあるご質問(FAQ)

まとめ

技人国ビザってどんなビザ?

技人国ビザってどんなビザ?

【技術・人文知識・国際業務とは】

この在留資格は、特定の専門的な知識や技術を活かした職務に従事するための在留資格です。大きく以下のとおり分類されます。

  • 理工学系の知識を活かす「技術分野」
  • 法律や経済、社会科学など人文系の知識を用いる「人文知識分野」
  • 通訳や翻訳、海外取引などの国際的な業務に従事する「国際業務分野」

「技術・人文知識・国際業務」は、通称「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれることから、この記事では「技人国ビザ」という用語で説明します。

【従事できる職業】

 技人国ビザでは、外国人がこれまで学んできた知識、仕事で培ってきた経験、または母国の文化や言語に関する知識と関連性のある業務であれば従事できます。機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者などがあげられます。

【該当しない職業】

 技人国ビザでは、専門知識を必要としない業務や外国人本人の学歴・職歴や文化などと関連しない業務は、資格要件には該当しません。また公私の機関との契約に基づいていない場合も基準に該当しません。さらに特定技能や技能実習がが対象とするような単純労働も、技人国ビザの資格要件からは外れます。

ビザの取得に必要な要件とは?

ビザの取得に必要な要件とは?

【学歴または実務経験】

●技術分野(理系職)

  • 大学や専門学校における理系学部の卒業、または10年以上の実務経験
  • 対象職種例:ITエンジニア、機械設計、システム開発など

●人文知識分野(文系職)

  • 大学/専門学校卒業、または10年以上の実務経験
  • 対象職種例:経理、マーケティング、法務、貿易業務など

●国際業務分野

  • 3年以上の実務経験(通訳・翻訳・語学指導など)。ただし大学で専攻していれば経験は不要
  • 対象職種例:翻訳・通訳、海外営業、外国語教師

【勤務先企業/事業主と申請者の間に有効な雇用契約があること】

  • 契約形態:正社員・契約社員・派遣社員でも可(アルバイト・パートは不可)
  • 給与:日本人と同等以上であること(最低20万円程度が目安)
  • 待遇:日本人と同等以上の待遇(最低でも月給20万円程度が目安)

【勤務先企業/事業主に事業の継続性/安定性があること】

  • 事業の実態:登記事項/事務所証明書類/業務証明書類により証明
  • 財務状況:健全であること
  • 売上/取引:安定していること
  • 社会保険・労働保険:適切に加入していること
  • 外国人雇用:必要性が証明できること

技人国ビザ申請の必要書類と審査期間は?

技人国ビザ申請の必要書類と審査期間は?

【必要書類の例(在留資格変更許可申請の場合)】

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真
  • 在留カードの写し
  • パスポートの写し
  • 履歴書
  • 卒業証明書
  • 成績証明書(必要に応じて出席証明書も)
  • 日本語能力を証明する合格証の写し
  • その他経歴/能力の証明資料
  • 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表写し
  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 申請理由書/雇用理由書
  • 履歴事項全部証明書
  • 会社案内(パンフレット等)
  • 直近年度の決算書
  • その他説明資料

【審査期間】

 認定申請、変更申請の場合は1〜3ヶ月が目安ですが資料の追加提出などで1ヶ月以上遅れることもあるります。事前に書類をしっかり準備することで、審査期間を短縮できる可能性もあります。お急ぎの場合や手続きに不安のある方は、行政書士に相談するのもお勧めです。

技人国ビザが不許可になるケースとは?

技人国ビザが不許可になるケースとは?

【学歴や職歴が要件を満たしていない】

事例① 情報技術者として申請したが、IT関連学位がなく実務経験も10年未満

事例② マーケティング職として申請したが、経営関連学位がなく実務経験も10年未満

  • 理由:学歴や実務経験の要件を満たいていない
  • 対策:情報系学部を卒業しているか、実務経験があるかどうかについて確認する必要があります。実務経験の場合は、正確な証明書を添付しましょう。

【職務内容が「技人国」に該当しない】

事例① 「通訳」として申請したが、実際の業務が事務や接客を含んでいた

事例② 「エンジニア」として申請したが、単純なデータ入力業務が中心だった

  • 理由:業務内容が「技術」「人文知識」「国際業務」のいずれにも該当しない
  • 対策:雇用契約書等で職務内容を明確に記載し「技人国」の要件に合致することを示し、職務内容の適正さを証明する必要があります。

【勤務先の事業の安定性・継続性が疑わしい】

事例① 設立直後の会社で売上実績がなく、申請したが不許可

事例② 会社が赤字続きで、直近の決算書が審査で問題視された

  • 理由:経営状態が不安定なため、外国人雇用を継続できる保証がないと判断
  • 対策:直近の決算書(できれば黒字)や納税証明書を提出し、事業の安定性を証明しましょう。まだ売上実績が少ない場合、実現可能性を正確に見積もった事業計画書/説明書を提出し、事業の見通しを説明します。

【日本人と同等以上の給与が支払われていない】

事例① 申請者の給与が月額15万円と低すぎたため不許可

事例② 日本人よりも低い賃金を提示していたため不許可

  • 理由:「日本人と同等額以上の報酬」が条件(月20万円以上が目安)。外国人だから安く雇う、といったようなケースは不許可
  • 対策:日本人と同等の給与水準(20万円以上推奨)を設定し、あわせて雇用契約書に記載する給与額が適切か今一度確認しましょう。

【偽装雇用・不正申請】

事例① 実際には働かないのに「雇用契約書」を偽造して申請

事例② 「エンジニア」と偽って申請

  • 理由:入管は厳格に審査を行い、不正が判明すれば即不許可。今後のビザ申請も厳しくなる
  • 対策:嘘の職務内容での申請は厳禁です。正しい内容で申請しましょう。また入管が求める追加書類には誠実に対応しましょう。

技人国ビザに関するよくあるご質問(FAQ)

技人国ビザに関するよくあるご質問(FAQ)

留学など、他のビザから技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)への変更は可能ですか?

はい、可能です。留学からの変更申請は、大学や専門学校を卒業後日本企業に就職し、学んだ分野に関連する職種で働く場合に、技人国ビザへの変更が認められます。技能実習を終えて母国に習得した技能を持ち帰っていない方は、変更できない可能性があるので注意が必要です。

飲食店のキッチンで働く場合、技人国ビザを取得できますか?

原則として、キッチンでの調理業務(いわゆるコック業)は技人国ビザの対象外です。技人国ビザはあくまで「専門的な知識や技能を活かした業務」が対象となるため、飲食店でも、たとえば「店舗マネジメント」「海外マーケティング」「通訳・翻訳」などの業務であれば対象となる可能性があります。

技人国ビザを申請するためにはどのような条件がありますか?

技術・人文知識・国際業務ビザを取得するためには、以下の条件を満たす必要があります:

  • 大学・短大・専門学校卒業(または実務経験10年以上)
  • 職務内容が学んだ分野と関連していること
  • 適正な報酬が支払われること(日本人と同等以上)
  • 雇用先企業が安定していること

技人国ビザでの在留期間は、将来の永住申請の「就労5年」にカウントされますか?

はい、カウントされます。技人国ビザは就労系在留資格の一つであり、永住許可申請に必要な「原則10年在留・うち5年以上の就労」に含めることができます。ただし、在留状況に問題がないことや納税・社会保険の履歴なども重要な審査項目です。

まとめ

まとめ

技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)の申請には、十分な準備と正確な書類作成が不可欠です。申請書類は、学歴や職歴、職務内容などを時系列や業務の関連性に沿って整合性を持たせてまとめる必要があり、非常に手間がかかります。書類の不備や説明不足が原因で、不許可となるケースも少なくありません。不許可のリスクをできるだけ回避するためには、入国管理局の審査基準を理解し、書類作成や説明資料の準備を適切に行いましょう。行政書士などの専門家のサポートを活用することで、申請書類の質を高め、スムーズな在留資格取得を目指すことも可能です。

【当事務所へ手続きをご依頼いただいた場合のサービス内容】
~ 在留資格の申請をトータルでサポートいたします ~

  • ご相談とお客様の詳細な状況のヒアリング(初回無料)
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  • 必要な書類や手続きの流れのご案内
  • 必要な書類のアレンジと申請書・理由書・説明書など各種補強資料の作成
  • 必要書類の取得方法のご案内(会社からもらう書類・住民票・課税証明書など)
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記事作成:在留資格申請取次行政書士 浅野

海外人材紹介会社、国内監理団体・登録支援機関での外国人材ビジネスを経験後、アンコール事務所を開設。